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人生の夏休み

ベルリンの壁/コールハース

11/18(水)

リサーチの一環としてコールハースの「ベルリンの壁に関するリサーチ」及び「エクソダス」を平行して分析中。1971年にベルリンに赴いたコールハースは、ベルリンの壁を「建築」であると解釈した。彼はベルリンの壁を二つの意味で建築的であると解釈している。

一つ目は、壁一枚を隔てて、異なる社会的状況が生まれていると事実による。ベルリンの壁は一直線に続く壁ではなく、東ベルリンの中に円を描くように築かれ、その中に西ベルリンが封じ込められた形状をもっていた。その壁は、平等を重んじて自由な経済活動が封じられていた社会主義体制の東側ベルリンから自由な経済活動を求めて多くの亡命者が西側ベルリンになだれ込むことを防ぐために、1961年に建設された。壁ができた後、西側ベルリンは社会主義社会に浮かぶ自由の楽園のような状況となった。その異常な社会状況を作り出している壁にコールハースは惹きつけられ、その状況を作り出す壁を建築であると解釈した。

二つ目は、壁そのものの力強さと美しさである。日常に隣り合わせて建つどこまでも続くコンクリートの壁。このシュールな存在そのものに彼は興味を抱いた。またそれと同時に、西側ベルリンを取り囲む壁は、時には既存の建物も壁の一部として用いられ、歴史的な遺産であるフランデンブルグ門さえもその一部として機能した。また一方では有刺鉄線と金網が壁として機能している箇所も存在していた。この一つの機能を果たすために用いられる、対極的なまでの表現の違い、その並列性に彼は魅力を感じて、その複雑さと美しさを建築的であると評した。

このベルリンの壁のリサーチはコールハースにとってその後の活動に大きな影響を与えていることは間違いない。もちろん社会主義社会に浮かぶ自由の楽園という発想は、その後、資本主義社会に浮かぶの楽園というコンセプトのもと「エクソダス」として発表されているし、壁の並列性はその後の彼の建築作品のボキャブラリーの一つとして継承されていく。

さて、このプロジェクトと現代のリゾートとの関係性とは何だろう?今考えられることは、リゾートは自由競争に基づいて発展した資本主義において、その競争に疲れた市民に競争を忘れて皆平等に安らぎを与える場所、ということになる。このプロジェクトで見た東ベルリン⇒西ベルリンという人の流れは、都市⇒リゾートという人の流れと色々な面で大きく共通点をもっているのだろう。その共通点を見つけた。

ベルリンの壁/コールハース_c0176478_3413956.jpg



by murakuni75 | 2009-11-24 03:49
オランダ・ロッテルダムにて都市と建築について考え中
by murakuni75

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