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人生の夏休み

ケネス・フランプトン

5/27(木)

テディ不在の今日は、アシスタントのサンディエゴとパリスタジオのチューターミガエルによるレビューが行われた。僕らのグループは少なくとも間違った方向には進んでいないことが確認できた。

*  *  *

マスタークラス中のビックイベントは建築史家のケネス・フランプトンによるパブリックレクチャでタイトルは"Tectonic Form and the Space of Public Appearance"。古代ギリシャから近代建築までの建築を通じて、石、スチール、ガラス、レンガといった材料・工法からいかなる空間が生み出され、それが都市の中でどのように影響を及ぼしているかを解説。少し語彙が難しく完全に理解できたわけではないが彼は次の様に締めくくっていたと思う。

あるプログラムに答えるために建築は生まれる、そのためにはテクトニックフォームが考え出される。そしてそのフォームがプログラムの範疇を超え最終的に都市に影響を与えることが建築のあるべき姿だ。

正しい。
確かにそうだ。

だけどこの正しさは今建築家が全力を注いでやらなければならない課題ではないと思う。少なくともベルラーヘの中で僕らが議論している点はここではない。まったく反対といってもいいくらいだ。

建築の実践は絶え間無く行われている。彼の主張するクリティカル・リージョナリズム、テクトニックフォームと空間の関係性に対する理解はすでに世界に広く浸透している。特に日本では顕著に現れていて例えば北海道の地方都市のコンペやプロポーザルはまさにこの点が課題になることが多い。また、建築雑誌に載る大手組織事務所やゼネコンの設計主旨を読むとフランプトンの主張への答えが多く見つかるはずだ。

ベルラーヘで僕達が議論し続けているのは、オブジェクトとしての建築の前になぜその建築がこの都市に必要なのか。そしてそれによって社会的、経済的、空間的にいかなる影響が生み出されるのかということだ。さらに言うとオブジェクトよりセオリーが今求められている。なぜなら今多くの建築家が無批判にクライアントやマーケットの求めるプログラムに答え、その枠組みの中でのフォームの遊戯に走っているからだ。

そのような意味で彼の唱えていることは、間違ってはいないがすでにピークを過ぎているのだと思う。
建築の表層に意識が集中して80年代のポストモダンに対して、クリティカル・リージョナリズムで意義を申し立てたことが彼の最大の功績だと思う。そのおかげで建築は大きく方向転換することが出来た。そして20年がたった。彼により作られた基盤で次は何を考えることが必要なのか、それが僕らの世代の課題といえる。

偉大な建築史家により現在の課題がよりはっきりとなった。


ケネス・フランプトン_c0176478_6475737.jpg



by murakuni75 | 2009-05-30 06:57
オランダ・ロッテルダムにて都市と建築について考え中
by murakuni75

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